2017年3月8日、カンプ・ノウ。後半アディショナルタイム5分。ネイマールがふわりと上げたボールに、セルジ・ロベルトが右足を目いっぱい伸ばす。ネットが揺れて、スコアは6-1。 パリでの第1戦は0-4だった。チャンピオンズリーグの歴史で、4点差をひっくり返したチームはそれまでいなかった。
この夜を、世界はひとつのスペイン語で呼んだ。remontada(レモンターダ)。 不思議なのはフランスだ。フランス語には「remontée」という、ほぼ同じ意味の立派な言葉がある。それなのにフランスのメディアは、試合当日からスペイン語のまま「la remontada」と書いた。そして3年後、この一語はフランスの辞書に載ることになる。
負けた国が、なぜ勝った国の言葉で自分たちの悪夢を呼ぶのか。答えをたどると、この単語がもともと誰のものだったのか、という話に行き着く。